せどり事業が軌道に乗ってきたら古物商許可を取得しましょう。
日本ではビジネスをする際には必ず何かの許可が必要になってきます。
- お酒を売るには酒類販売許可
- お店をやるには風俗営業許可
- 料理屋をやるには飲食店許可
そしてせどりをやるには古物商許可です。
せどりで稼いでいくなら、この古物商許可はいずれ必要になります。
せどり事業が軌道に乗りだしたタイミングで、
早めに取得しておいたほうがいいと思います。
今回は古物商許可申請についてしっかりと解説します。
古物商許可証は警察署に行き、書類をもらって申請するだけです。
ただし準備から許可を受けるまで約1か月~2か月ほどかかるので、できるだけ早めに準備をしておきましょう。
古物商許可証とは?新品せどりでも必要!
古物商許可証というのは一言で言えば「中古品を売買するための許可証」です。
市場に盗品が流通しないよう、古物を扱う商売をすべて許可制にし、流通を警察が把握、管理しましょう、というのがこの許可証の理由です。
「古物を買い取ったり、売ったりして利益を出します」
という方に必要な許可証です。
せどりは「古物商」に該当します。
そのため、「古物商許可」を受けて、「古物営業法」を遵守しなければなりません。
古物というと中古品や骨とう品のみをイメージする方も多いようです。
「僕は新品せどらーだけど?」
「別に壺とか掛け軸扱うわけじゃないよ?ゲームとか服だよ?」
このような質問も多いのですが、結論から言うとすべて古物です。
リサイクルショップで買ってきた中古品はもちろん、
店頭で買ってきた新品も定義上はすべて古物なのです。
というのも、「古物」の定義は「流通から外れて一度でも人手に渡ったもの」です。
- 一度使用されたもの
- 使用していないが使用するために取引されたもの
- 上記に手入れをしたもの
こう書くと難しいのですが、ざっくり説明すると
「お店から買ってきたものはすべて古物」
という区切りです。
新品か中古品かどうかは関係ありません。
例えばGUで洋服を仕入れてきました。
当然新品です。
まだ封も開けていません。
ですが、あなたが買ってきた時点、
もっと言えばお店に並んだ時点でその洋服はもうすでに「古物」なのです。
その古物を売買するわけですから、やはり古物商許可証が必要なのです。
せどりで扱う99%の商品は古物と言っていいでしょう。
古物ではないもの、つまり古物商許可証がいらないケースもあります。
- 工場から仕入れたもの
- 卸問屋で仕入れたもの
- 海外から輸入したもの
- ただでもらったもの
- 利益目的でない
これらのケースでは古物商許可証は必要ありません。
ですがほとんどのせどらーは国内のお店で利益目的で買ってきて売るわけです。
そうなるとやはりほとんどのせどらーに古物商許可証は必要です。
「継続的に何か買って売る場合は古物許可証が必要」
こう覚えておけば間違いないです。
ちなみに古物商許可はよく「免許」と呼ばれたりしますが、
正確には免許ではなく「許可証」です。
古物商許可を取るための条件
では早速申請…の前にちょっと待ってください。
一応「欠格事由」に該当していないかどうか確認しておきましょう。
欠格事由とは古物営業法第4条(許可の基準)、「許可が下りない理由」の事です。
欠格事由がある人は申請しても許可が下りません。
申請して許可が下りないと、時間も無駄になりますし、
何より申請の際に提出した申請料19000円が無駄になります。
申請料は許可を受けるための費用ではなく
「申請するための費用」なので不許可になった場合でも返ってきません。
お金や時間を無駄にしないように欠格事由はよく確認しておきましょう。
欠格事由は以下の通りです。
(1)成年被後見人、被保佐人(従来、禁治産者、準禁治産者と呼ばれていたもの)又は破産者で復権を得ない者
(2)罪種を問わず、禁錮以上の刑背任、遺失物・占有離脱物横領、盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑古物営業法違反のうち、無許可、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過しない者執行猶予期間中も含まれます。執行猶予期間が終了すれば申請できます。
(3)住居の定まらない者
(4)古物営業法第24条の規定により、古物営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者許可の取消しを受けたのが法人の場合は、その当時の役員も含みます。
(5)古物営業法第24条の規定により、許可の取り消しに係る聴聞の期日等の公示の日から、取り消し等の決定をする日までの間に、許可証を返納した者で、当該返納の日から起算して5年を経過しない者
(6)営業について成年者と同一能力を有しない未成年者婚姻している者、古物商の相続人であって法定代理人が欠格事由に該当しない場合は、申請できます。
(7)営業所又は古物市場ごとに、業務を適正に実施するための責任者としての管理者を選任すると認められないことについて相当な理由のある者欠格事由に該当している者を管理者としている場合などが該当します。
(8)法人役員に、(1)から(5)までに該当する者がある者
引用:警察庁HP
色々書いてあって難しいですね。
ざっくりとですが、簡単に解説します。
- 精神障害、認知症の方
- 自己破産して復権(一定期間経過していない)してない方
- 犯罪歴のある方(執行猶予中もNG)
- 過去に古物営業法に違反して免許を取り消されたもの
- 未成年者
- 住居が定まらないもの
- 上記の条件を満たすものが役員にいる法人
基本的に普通の生活を営んでいれば大丈夫です。
ただ、少しでも怪しいと思ったら一度警察署のほうで確認したほうがいいでしょう。
ちなみに担当は生活安全課の古物商許可担当窓口です。
あと、欠格事由ではないのですが、
古物商を営む営業所が申請できない方も許可がおりません。
ネットだけでしか取引しない場合も、
一応営業所として自宅や事務所を申請しておく必要があります。
通常、個人のせどらーは自宅を古物商の営業所として申請します。
自宅であれば特に問題はないのですが、賃貸に住んでいる方は
大家さんやオーナーさんに
「借りている住居を古物商の営業所として使用する許可」をもらう必要があります。
この許可がもらえないと営業所として申請できないので、
別にせどり用の事務所を借りるとか、バーチャルオフィスを借りるなどの対応が必要です。
賃貸契約書をよく読んで、
「事務所利用不可」と書いてあった場合(大体書いてありますが)、
一度大家さん、オーナーさんに相談しましょう。
古物商許可取得にかかる費用
古物商許可を受けるためには、申請料や各種必要書類取得で費用がかかります。
個人か法人か、または個人の状況によって若干上下します。
ですが、一番高い申請料(19000円)以外はせいぜい数百円程度です。
ざっくり20000円前後くらいかかる、と覚えておいてください。
- 住んでいる地域の住民票… 300円
- 登記されていないことの証明書…300円
- 身分証明書… 300円
- 収入証紙… 19000円
以上4点で費用が掛かります。
聞きなれない書類が並んでいますが、取得場所や取得方法は後程詳しく解説します。
古物商許可申請の手順
まずは大まかに手順を確認しましょう。
- 警察署の生活安全課で申請書類一式をもらう
- 次に法務局へ行って登記されていないことの証明書をもらう
- 市役所で住民票と身分証明書をもらう
- 書類を記入
- 警察署に行って申請料と一緒に提出
順番は警察署からでなくてもいいのですが、警察署に先に行くほうが効率的です。
詳しく申請手順を教えてくれる場合もあります。
文字にするとたったの5ステップで簡単そうに見えますが、
書類や記入が非常に複雑で面倒です。
必要になったらできるだけ早めに準備をしましょう。
古物商許可に必要な書類と書類の取得方法
申請に必要な書類を集めましょう。
地域によって必要な書類が若干異なるそうです。
なお、書類を集める際は必ず印鑑を持っておきましょう。
色々な場面で必要になります。
認印で十分です。
まずは警察署です。
警察署で申請書類一式をもらいます。
免許の更新以外で入るのはなんとなくドキドキしますが、堂々と入りましょう。
行先は「生活安全課」です。
生活安全課に行き、「古物商許可担当」の方や「古物商許可窓口」に行きます。
都道府県によって若干違いますが、
生活安全課に行って「古物商許可を申請したいんですが」と言えば
担当の方が来てくれるはずです。
【警察署でもらう書類】
- 申請書類 別記様式第1号その1(ア)(第1条関係)
- 申請書類 別記様式第1号その2(第1条関係)
- 申請書類 別記様式第1号その3(第1条関係)
- 手数料納付書
- 略歴書
- 誓約書(個人用 管理用で2枚)
- 使用承諾書(営業所が賃貸の場合)
- 19000円分の収入証紙
ここは特に問題ないでしょう。
警察のほうですべてきちんと用意してくれます。
書き方がわからない書類や不明な点があれば、できるだけここで聞いておきましょう。
19000円分の収入証紙は最後書類を提出するときに必要になります。
警察署内で売っていますが、最後に買えばいいでしょう。
ごくまれに「収入印紙」と間違える方もいるので注意してください。
「収入証紙」、です。
【市役所でもらう書類】
- 住民票
- 身分証明書
これも問題ないですね。
市役所の窓口で申請すれば簡単にもらえます。
ただ、本籍が別の地域だった場合は身分証明書はそっちでもらう必要があります。
遠い地域が本籍になってる方は早めに取り寄せを依頼するか取りに行きましょう。
【法務局】
- 登記されていないことの証明書
これもほとんどの人が問題ないはずです。
内容が難しいので今回は深く触れませんが、
要は過去に精神障害や認知症に認定されたことがある、という方は取得できない書類です。
【その他】
- 賃貸契約書の写し
- URL証明書
古物商は「お店」なので「営業所」を設定しないといけません。
実際に使用する、しないに関係なく必要です。
通常個人のせどらーは自宅を営業所に設定します。
(自宅で全く問題ないです)
ですが、賃貸の場合は自分のものではないため、勝手に営業所にすることができません。
大家さんやオーナーさんの許可が必要になります。
警察署でもらってきた「使用承諾書」がそれにあたりますが、
それと一緒に「賃貸契約書の写し」、コピーを持ってくるように言われます。
大家さんの承諾書と賃貸契約書の写しを照らし合わせて
「営業所として申請できる」と判断してもらうのです。
URL証明書はインターネットを使って古物を売買する場合に
「そのサイト、URLの所有者であることを証明する」書類です。
自分のHPを持っていて、そこで買い取りや販売を行う場合はこのURL証明書が必要です。
特に様式があるわけではなく、所有権がわかれば何でも構いません。
ドメインの契約ページを印刷したものとか、
とにかく「販売するHPは僕のものですよ」と証明できればOKです。
(一応警察署で確認取ってください)
ただ、多くのせどらーはアマゾンやメルカリ、ヤフオクを利用していますよね。
これらのプラットフォームを利用している場合はURL証明書は必要か?
という疑問が出てきますよね。
この点ですが、都道府県によって対応が違います。
ちなみに友人の例だと
- あなたが所有するHPじゃないんだから必要ないと言われた
- アマゾンに確認取ってそのうえでアマゾンの販売ページのURL持ってこいと言われた
- とりあえずURLだけ教えといてと言われた
などかなりバラバラな対応です。
この点だけはお住いの地域の警察署に確認するようにしてください。
さて、これで書類が全部集まりました。
あとは記入して提出です。
後編では各書類の記入の仕方と申請後の準備について解説します。
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