ここ数年、ドラッグストアやディスカウントストアなどで、
中国人観光客が目薬や熱冷まし用シートなど、日常医薬品を
爆買いしている光景を見かけることが多くなりました。
彼らの大多数は、日本と中国の価格差を利用して稼ぐ、
「中国人せどらー」、通称「ソーシャルバイヤー」です。
日本製の目薬や熱冷まし用シート、キズ薬や
消炎鎮痛剤などは中国人にとても人気があります。
この記事では、ソーシャルバイヤーと中国電子商取引法、
中国人向けECサイトの構築について紹介します。
ソーシャルバイヤーとは
引用元:https://kindaipicks.com/article/001652
ソーシャルバイヤー(代理購入/代購/海淘(ハイタオ)とは、
日本から仕入れた商品を中国で転売して稼ぐ、中国人せどらーのことを指します。
中国には「代購」という習慣があります。
「代購」とは、信頼できる親戚などが都会に行った場合に、
必要な商品を購入してきてもらうことです。
中国国内では、都市部と地方では価格差がある場合が多く、
お店の品揃えにも大きな違いがあります。
しかし、スマホやSNSの普及により、かつては親戚や知人同士だけで行っていた
代購が、ネット上の繋がりだけでも行われるようになりました。
ソーシャルバイヤーは、在日中国人や中国人観光客が
日本で仕入れた商品を、タオバオやSNSなどを利用して
中国国内で転売し、日本との価格差を利用して利益を上げています。
この方法では、中国への配送方法にEMSを利用して、商用ではなく、
贈り物として発送することで、通常9~15%掛かる関税が不要で
日本の商品を手に入れることができます。
ソーシャルバイヤーへの規制
引用元:https://business.bengo4.com/articles/472
しかし、中国政府は、インターネットビジネスの適正化を理由として、
2019年1月1日に「中国電子商取引法(電商法)」を施行しました。
電商法の目的は、「個人輸入品の関税の強化」にあります。
日本から中国への個人輸出額は、2017年の時点で、生活雑貨や日用品など
約1兆3千億円程度あったと推測されています。
これだけの多額の個人輸入品がありながら、名目が「贈り物」として
いわゆる、「グレーゾーン」で配送されていたため、これまでほとんど
関税は徴収することができませんでした。
「中国電子商取引法(電商法)」は、ソーシャルバイヤーの
関税逃れを規制するための施行だったと想像されます。
ソーシャルバイヤーにも関税
引用元:https://eraveru.jp/tax/articles/zeikin_zeimu/shurui_shikumi
「中国電子商取引法(電商法)」の施行により、
「代購」などの代理購入の場合でも政府の許可が必要になり、
関税納付の対象となりました。
そのため、電商法施行後は個人や事業所など、
約70%のソーシャルバイヤーが取引を中止しています。
しかし、中国政府は、正規の輸入品に関しては、
購入額の上限を増やしています。
これにより、個人輸入品だけでなく、正規ルートでの
輸入品からの関税収入アップも狙っています。
中国ソーシャルバイヤーの規制後
引用元:https://coinpost.jp/?p=114684
現在も日本国内から中国への輸出を継続しているソーシャルバイヤーには、
中国系商社など、法人が多く見られます。
それに伴い、商品も店頭仕入れから問屋やメーカー仕入れと、
より安い仕入れ先からの仕入れに変化しています。
また、中国への配送方法も変化しています。
これまでは、日本国内から中国の購入者の自宅まで、
EMSで個別に配送する方法が主でした。
この方法では、発送に多くの作業が必要になります。
また、EMSを利用した個人宅への配送の場合、約15%の関税が徴収されます。
そのため、日本から中国へまとめて商品を輸出し、
中国国内の倉庫から個人宅へ配送する方法が生まれました。
この方法では、中国での関税も約9%と安く、
日本国内からのEMSを利用した、中国国内の個人宅へ
配送した場合と比較すると大幅に配送作業と配送時間が効率化されました。
日本製中国向け商品の登場
中国系商社は、商品をメーカー直販で仕入れるだけでなく、
日本のメーカーに、中国向け商品の発注も行っている会社もあります。
高品質、安価な日本製中国向け製品の流通により、
今後は日本製商品の販売が減少する可能性もあります。
まとめ
日本から中国への輸出額は、2017年の時点で約1兆3千億円と
日本のメーカーにとって中国は巨大な輸出先となっています。
しかし、中国国内ブランドの品質は日々向上してきています。
更に、日本製中国向けの商品の存在もあります。
2019年1月1日の電子商取引法により、これまでのように
中国人観光客の爆買いを期待することも難しくなりました。
今後、日本のメーカーは中国市場でこれまで同様の
売上げを確保するのは難しくなっていくと思われます。
そのため、中国向けの越境ECサイトの構築が重要になってきます。
しかし、中国向けECサイトを構築するためには、中国国内に
法人が存在する必要があるため、日本人にはハードルが高くなっています。
更に、中国ではネット規制により、日本へのアクセスの多くが制限されています。
しかし、中国から香港へのアクセスは可能となっています。
ふじもんも、香港サーバー系由で中国向け越境ECサイトを構築し、
日本から商品を販売したいと考えています。
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